肩書きや地位がいかに高くとも、権限に焦点を合わせる者は自らが単に誰かの部下であることを告白しているにすぎない。これに対し、いかに若い新入りであろうと、貢献に焦点を合わせ成果に責任をもつ者は、最も厳格な意味においてトップマネジメントの一員である。組織全体の業績に責任をもとうとしているからである。
貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向ける。自らの専門やスキルや部門と、組織全体の目的との関係について徹底的に考えざるをえなくなる。政策にせよ、医療サービスにせよ、自らの組織の産出物の究極の目的である顧客や患者の観点から物事を考えざるをえなくなる。その結果、仕事や仕事の仕方が大きく変わっていく。
自らの貢献を問うことは、可能性を追求することである。そう考えるならば、多くの仕事において優秀な成績とされているものの多くが、その莫大な可能性からすればあまりに貢献の小さなものであることがわかる。
ドラッガーの著書より
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